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米中対立は文明の衝突①

2020-05-26

 統治支配に最適な中華思想と儒教

 まず、中国は5000年の歴史を有するアジアでは最古を誇る文明を持った国である。その中国には、中国人なりの世界観がある。

それは、中国は宇宙または世界の中心であり、その中国を治めるために天の神が選定したのが天子である。その天子が治める領域を天下という。

その文化が中華である。この中華の東西南北に居住するのは、中華に属さない蛮族である。即ち東夷、西戎、北狄、南蛮(とうい、せいじゅう、ほくてき、なんばん)である。日本は、中華から見れば、東夷の蛮族なのである。

Wikipediaより


 

今日の中国は勿論この歴史の延長線上にはいるが、中国という国家が五千年間連続して存続してきたわけではない。

中国大陸という国土はそのままではあるが、活躍してきた民族は入れ代わり立ち代わりしており、厳密には中国人という民族は存在しない。

しかし、今日の中国を支配している中華思想の核となる儒教は、春秋戦国時代の魯(ろ)の国の孔子から始まったのである。

魯(ろ)の国の孔子


 孔子は、人間の心の一番重要な部分を「仁」と称し、それを生活の中に形で現すことを「礼」と称し、「仁」に則し「礼」を実現できる人間を「君子」と言った。これを政治にまで拡大したものを徳治主義という。

この孔子の教えは支配する者には非常に便利なので国家統治の理念として採用された。

紀元前136年、漢の武帝に董仲舒(とう ちゅうじょ)が国を統治する理念として儒教を採用するように提案し、受け入れられ五経博士を置くことになり儒教は国教として公認された。

漢帝国の武帝

以来儒教は中国の中心思想となり今日の中国人の考え方に多大の影響を与えて来た。 

米国の建国理念はキリスト教  

一方、イギリスの北米植民地だった東部13州が本国から独立しアメリカ合衆国が成立したのが1776年7月4日だった。超大国アメリカの出発であった。

アメリカ13州でも北部ニューイングランド地方は、メイフラワー号で移住したピューリタン達の子孫が多く非常に信仰的にも深い人達であった。
 

フィラデルフィアで開催された
第二次大陸会議でアメリカ独立宣言草稿を
提出する5人委員会のメンバー
Wikipediaより

勿論ピューリタンは、英国から信仰の自由を求めて新大陸に移住した人達であるが、キリスト教自体がヨーロッパに拡がった理由は、ローマ帝国のコンスタンチヌス帝が西暦313年ミラノ勅令でキリスト教の公認を許し国教となったからである。

ローマ帝国は既に末期に近かったが、帝国内に多くの民族を抱え統一することに困難を来たしていたのでキリスト教は諸民族を包摂することに役立ったのである。

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コンスタンティヌス1世の頭像
(カピトリーノ美術館所蔵)
Wikipediaより

コンスタンチヌス大帝は帝国の首都をコンスタンチノープル(現在のトルコ、イスタンブール)に移した。後にローマ帝国は東西に分裂し、西ローマ帝国は476年に滅亡した。東ローマ帝国は1453年オスマン帝国によって滅亡させられた。

東西に分かれたローマ帝国

文明的観点から見れば、現在における西ローマ帝国の継承者は、アメリカであると筆者は信じている。そして東ローマ帝国は、ギリシャ正教を形成し更にはロシア正教となる。即ち独断ではあるが、アメリカのトランプ大統領は西ローマ帝国の皇帝であり、プーチンは東ローマ帝国の皇帝のような位置にある。どちらも強烈な個性を持ち人の言う事を聞きそうにない。そう、この二人は皇帝なのである。

Donald Trump official portrait.jpg
アメリカ合衆国
第45代大統領
ドナルド・トランプ氏
Putin on Day of People’s Unity in Kremlin 2019 (8) (cropped).jpg
ロシア連邦
第2・4代大統領
ウラジーミル・プーチン 氏

では、習近平氏はどうか。漢帝国の武帝の再現かもしれない。因みに漢の武帝は、中国の西域(現シルクロード)との交易路を初めて開拓した皇帝であった。

Xi Jinping 2019.jpg
中華人民共和国
第5代最高指導者
習近平氏

彼は、現在中国とシルクロードを結ぶ一帯一路政策を掲げており、漢の武帝の再来のように見える。習の面構えは、彼が簡単な人ではないことを良く現わしている。