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アノミー(無規範)への屈伏を許す 「緊急事態条項なし」の敗戦憲法⑤

2020-09-22

このような指摘こそ立憲主義である。ところが護憲勢力はそれをさせない。それで法律レベルで緊急事態への備えをしてきた。まさに解釈改憲で自衛隊を存在させてきたのと同じ構図である。すなわち災害対策基本法105条は「災害緊急事態」の布告を設けている。国の経済や公共の福祉に重大な影響を及ぼす激甚な災害が発生した場合、内閣総理大臣は閣議にかけて災害緊急事態の布告を発することができる。

会見を行う安倍総理1
令和2年4月7日新型コロナウィルス感染に伴う緊急事態宣言を発出する安倍首相
写真は首相官邸ホームページより

あるいは警察法71条は、国の経済や公共の福祉に重大な影響を及ぼす激甚な災害が発生した場合、内閣総理大臣は閣議にかけて災害地域に「災害緊急事態の布告」を発することができるとしている。布告すれば警察を首相直属とし、警察官25万人を総動員できる。今回は緊急事態宣言ができる改正新型インフルエンザ対策特措法を制定して凌いだ。その意味で、憲法抜きで「緊急事態態勢」が作り得る。ただし、いずれも「強権」はなく「お願い」「要請」の次元にとどまる。

もはや憲法は必要なし? ならば立憲主義はどうなるのか。西部邁氏はこう言っている。「非常事態が発生しても放っておきましょう、それが日本国憲法の規範感覚なのだ。それはアノミー(無規範状態)への屈伏ということであるから、実は、敗戦日本人の規範感覚は零近くまで衰退しつづけてきたといっても少しも過言ではない」(前掲)そういうエセ憲法をいつまで許しておくのか、国民の規範意識が問われているのである。

News Letter令和2年7月号より

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