今こそ台湾を見よ②
日本を慕う台湾に対する日本の仕打ち
私事になるが、台湾に行くとどこか懐かしさを感じることがある。
日本語を喋れる老人と話した時、仰げば尊しを歌ってくれた。そして、この歌を聴くと涙が出ますと目を潤ませていた。
その老人の記憶の中にある日本の先生達の愛情や精神が、未だに消えることなく宿っているかのようであった。
『日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか』
しかし、世界一の親日国であるこの台湾に対して日本はあまりにも非礼である。日本は敗戦後、台湾を置いて本国に帰ってしまった。
司馬遼太郎の台湾紀行にこんなシーンがある。ある台湾の貴婦人が司馬遼太郎に尋ねる。『日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか』と。
答えに窮する司馬に貴婦人はもう一度同じ質問をしたと言う。
『日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか。』
さらに日本はあろうことか世界一の親日国である台湾と断交までしてしまっているのだ。改めて言うが台湾は世界一の親日国だ。
1971年田中角栄が日中国交正常化した際、台湾との断交もまた決定した。経済的にも軍事的にも膨張する中国に遠慮するあまり、台湾と外交が結べないのである。
世界情勢上のやむを得ない事情もあろう。だが結果として日本は敗戦時と日中国交正常化時の二度も台湾を見捨てているのである。
サムライの魂を日本より受け継ぎ、巨大な中国に対峙しながらも決然とした態度で台湾を守ってきた李登輝が、今の日本の姿を見て果たしてどう感じているのだろうか。
映画では李登輝が日本精神から唯物論、さらにはキリスト教への思想的変遷をしていく様を追いながら、台湾における国民党独裁政権時代の悲劇、そして民主化への戦いが描かれている。
彼は常に増大する中国共産党の脅威と圧力を受けながら、どこまでもポジティブに世界を変えていく。
さて、問題は日本である。日本は今こそ『日本精神』を取り戻し、国の誇りを回復すべきである。そして兄弟国である台湾をもう二度と見捨ててはならない。
私たちは、今再び李登輝の内に残る『日本精神』を学ぼうではないか。