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災害派遣中こそ一層強化すべき国防態勢⑥

2020-10-01

攻撃成功の決め手は疫病の蔓延:戦史の教訓

 古代ローマ、中世ヨーロッパの攻城戦下の進攻軍はカタパルト(大型投射器材)をもって大量の牛馬や人間の死骸を城壁の内側に投げ込んだ。その結果、城内の住民は恐れおののき、腐乱した死体から蔓延する疫病に倒れる戦士が続出して落城を余儀なくされた。

 北米大陸には、1620年における清教徒のプリマス上陸以来、欧州からの入植が盛んになり、原住民(アメリカインデイアン)に先進文明をもたらした。その反面、多くの悪辣な移民達は、原住民の社会に疫病を蔓延させて衰亡の道に追い込み、彼等の土地を奪い取り、入植地を拡げたのである。

このため彼等は当初、原住民に友好的な態度で臨み、農産物などの提供を受け、その見返りとして毛布、衣類、調度品などを渡した。ところが、原住民達の魅力を誘う先進文明の華は、意図的に天然痘、コレラ、ペストなどの病原菌に汚染されていた。

天然痘の被害を伝えるアステカの絵(1585年)。パイプによる治療を試みている。 画像はWikipediaより

その結果、欧州到来の病原菌に免疫性のない原住民達は次々と罹患した。一方、入植者は原住民を滅ぼしながら、東部から西部に開拓地を拡げたのである。

News Letter令和2年6 月号より

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